指導教授からのメッセージ

近代日本政治(明治~昭和戦前期)を主たる専攻領域とし、同時代の社会、文化、経済の動態、さらには新聞、雑誌を中心としたジャーナリズム、言論、思想界の動向をも視野に置いた多角的研究を行う。「賢い民族は歴史から種々の教訓を学ぶ」という。今日の日本を分析する場合も、今後の日本の進路を考える際にも、生きた政治史は、諸君に貴重で有益な示唆を与えてくれる資料の宝庫である。この宝庫に足を踏み入れる感動を体験したい者への道案内をするのが本研究会の目的である。

ゼミ2年間のスケジュールは大略、次の通りである。

まず3年の前半には、時代の大きな流れをつかむため近代日本政治の基礎的文献を精力的に読み討論する。(従って、当該領域の知識が不足していることを心配する必要はない)。また、資料の収集、整理分析の方法、論文の書き方なども同時に学んでもらう。夏休み以降は、三田祭で発表するテーマに即し、ゼミ一丸となって調査研究に取り組む。上記の勉強を基盤に3年の後半から卒論のテーマを次第に明確にしてゆき、中間発表を繰り返しながら研究を進める。

そして、4年の卒業前の指定日までに卒論を完成し提出する。なお、論のテーマは、冒頭に示した時代に関するものであれば、政治家、軍人、言論人の個人研究から、政党、軍部、官僚などの組織、戦略研究、新聞雑誌の政治放送を分析するマスメディア研究(三田祭では「政治危機とマスメディア」と題し、テロや暗殺、戦争などの政治危機に際し、わが国のマスメディアがいかなる反応を示したか、近代日本政治史上の事例研究を通じてその問題点を考察する)、あるいは政治史上の事件を焦点にして取り上げた研究でもよい。各人の趣味と関心に基づき自由に選択する。

入会に際しての条件は、まず、大学生活における本籍を当研究会に置くことが可能なことである。つまり、サークル等、いかなる団体に所属していてもかまわないが、ゼミの活動(春、夏の合宿、新歓等のコンパ)を最優先にすることを求める。また、ゼミの活動に責任を持ってあたり、自主的、積極的に参加することである。この条件を満たすものであれば、大歓迎である。

大学入学後、スポーツや娯楽を通じた喜びしか味わったことのない諸君、学問研究を通じた知的冒険に旅立ち、自らの視野を広げ新たな発見をする知的興奮を体験したくはないか。教師や他のゼミ員とともに、この知的感動を求め旅する意欲があり、残りの大学生活の悔いを残すことなきよう充実したゼミを望む学生の入会を期待する。

「厳しく、しかし楽しく」、これが本研究会のモットーである。
                                       玉井清